■イベント情報■「花岡錬三郎の事件簿〜奪われたお宝をみつけだせ〜」解決篇その4


「何もお前が知らないなんてね。」
相変わらず不機嫌そうに女の子がいう。
「しょうがないよ、。。。」
悲しい顔で男の子がそう答えた。
「そうか、やはりな、お前か、ミフユ。」
錬三郎は後ろをむいて話した。
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森の影からすうっと着物を着た美しい女性が現れる。年は20代後半くらいであろうか、
「相変わらずだね、レンお前の姿は昔とかわらないね。私は少し年をとったかな。」
少し笑みをこぼしながら、女はしゃべる。
「やれやれ、いたずらが過ぎるぞ、ミフユ。どうしてお前がここにおるのじゃ、
 あんな、手の込んだいたずらもしよって。何か恨みでもあるのかわしに。」
少し強い口調になる錬三郎。
「恨みならあるさ、約束も忘れたのかい?流石に年月が流れすぎたか。」
下をうつむきミフユはつぶやいた。

「社長!!。」
渥人と、妖子は社長と湯元のいる部屋にはいってきた。
「ハア・ハア。犯人がわかりました。」
ものすごい勢いで探して回ったのか、息を切らしている。
「そうか、美冬半人だな。」
社長が言う。
「あの話は本当だったのだな。」
社長がつぶやく。続けてはなしはじめた。
「昔菱野に『おつぼ』という女がいた。今の宇坪入(うつぼいり)地籍を開墾(かいこん)したが水がなくて困った。そのためそこへ堰(せき)を作ってみたが水が流れてこない。そこで『おつぼ』は堰の上流にある大きな石に登って水が湧くことを願いながら[しこ]を踏んだ。すると不思議なことに、その石の下から水が湧き出してその辺を灌漑(かんがい〈人工的に水を送ること〉)することができた。
その後数年かたって開墾が進んで、耕地が増えたため水量がたりなくなった。
そこで後世の村人達がその堰の下の方へ横堰というのを作って、この堰を切り落としその上他の水源地からも、水を引いてこれに加えた。しかし、この女の功績を忘れないためにと、新しい堰を『女堰(おんなせき)』と名づけて呼んだので『おつぼ』の開いた堰は『古堰』と呼ぶようになった。
しかし、『おつぼ』の霊はこれを喜ばないのであろうか。四月二十六日、二十七日の女堰の堰ざらいの当夜には、『おつぼ』の霊が提灯(ちょうちん)を古堰の見回りをする。
という言い伝えがある。」
「ちょうど100年前、水が堰から流れなくなったそうだ。そのとき雲の助城にある『問答石霊声』から、『古堰へ矢留ノ城ノ少年ヲ奉ゲバ水ハ流ル』、というお告げがきこえてきた。」
まさか。。。皆がそう思った。
「その少年が大おじさん。花岡錬三郎だ。」
妖子が恐るおそる聞く
「今二人はどこに?」
社長が答える
「おそらく『古堰』だろう。私も行かねば。あの地図が古堰を納めるものではなかったのか。」
そお言うと隆士は部屋を出て行った。
「宝って宝の地図だったんだ。」
呆然としていた3人だったが、あわてて隆士の後を追いかけた。

「怖い。。。」
妖子が渥人にしがみついた。
「意外と女の子なんだね。弱点みっけ!!」
嬉しそうに渥人が言う。
「静かにしないか。あそこに社長がいる。」
湯元は二人を静かに叱りつけ奥の方を指さした。
隆士が見てる方角で、錬三郎と着物をきた女性が話をしている。

「約束か、約束を果たすためにここにきたのじゃ。」
真剣な眼差しで錬三郎は美冬に言った。
「わかっていたよ。そこの子供達から聞いていたからね、だから待っていたんだ。」
座敷童子をみながら美冬が話す。
「そうか、そうか知っておったか『おつぼ』に会いにきたんじゃ」
そう錬三郎が話した瞬間森の中が急に明るくなった、
あちこちで真っ赤な光を発している。
「うわ!」
「何これ!」
渥人と妖子は驚いた。
「これが、矢留の城の篝火。そうか錬三郎おじさんはこのために。。」
隆士はいう。
「おうおう。相も変わらず威勢がいいのう!やはりな、わかった。3ヵ月後にまた会おうぞ、『おつぼ』よ!」
錬三郎がそう叫ぶと辺りの光はなくなり。嘘のようにまた暗闇が広がった。
「約束はそれだけか。覚えていないのか?私との約束。。。」
震えながら、美冬は言った。
「すまんかったな。。約束の物はもうもっておるじゃないか。美冬」

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